「空き家税」というワードが、検索トレンドで注目を集めています。
背景にあるのは、京都市が導入を予定している「非居住住宅利活用促進税」です。これは、空き家や別荘、セカンドハウスなど、居住者のいない住宅の所有者に対して課税する制度です。
京都市では、空き家や使われていない住宅が増えることで、住宅供給の妨げ、防災・防犯上の問題、生活環境の悪化、地域コミュニティの低下などが起きるとしています。こうした課題への対策として、非居住住宅の有効活用を促す目的で新たな税の導入が進められています。
京都市が導入予定の「非居住住宅利活用促進税」
今回話題になっている「空き家税」は、正式には京都市の「非居住住宅利活用促進税」です。
対象となるのは、京都市の市街化区域内にある非居住住宅です。非居住住宅とは、その住宅を生活の本拠として使っている人がいない住宅を指します。空き家だけでなく、別荘やセカンドハウス、使われていない分譲マンションの一室なども対象になり得ます。
京都市は、この税を課すことで、所有者に住宅の活用や流通を促し、空き家の有効活用を進めたい考えです。また、税収を空き家活用支援などの施策に使うことで、住宅供給の促進や地域コミュニティの活性化につなげる狙いがあります。
課税開始は2030年度予定に延期
京都市の非居住住宅利活用促進税は、当初より開始時期が後ろ倒しになっています。
現在の京都市の案内では、課税開始は令和12年度、つまり2030年度からの予定です。令和12年1月1日時点の利用状況をもとに、課税対象かどうかを判断するとされています。
延期の理由としては、システム開発の影響が挙げられています。課税対象となる住宅の判定や通知、申告、課税処理には複雑な実務が伴うため、制度開始までに時間をかけて準備が進められる形です。
今回「空き家税」がトレンド入りした背景には、「いつから始まるのか」「自分の実家や別荘も対象になるのか」といった関心が高まっていることがあるとみられます。
すべての空き家が対象になるわけではない
「空き家税」と聞くと、すべての空き家に一律で税金がかかるように感じるかもしれません。しかし、京都市の制度では、一定の免税点や課税免除が設けられています。
たとえば、家屋の固定資産評価額が一定額未満の場合は課税対象外になります。導入当初5年間は、家屋価値割の課税標準額が100万円未満のものは免税点に該当します。
また、事業に使っている住宅、1年以内に事業利用を予定している住宅、賃貸や売却を予定している住宅などは、所有者から申告があれば課税免除の対象になる場合があります。
つまり、単に誰も住んでいないから即課税というわけではなく、利用予定や売却・賃貸の意思、建物の価値なども確認される仕組みです。
税率は「家屋価値割」と「立地床面積割」
京都市の非居住住宅利活用促進税は、大きく「家屋価値割」と「立地床面積割」で構成されます。
家屋価値割は、非居住住宅の家屋部分の固定資産評価額をもとに計算されます。税率は0.7%です。
立地床面積割は、土地の固定資産評価額や住宅の延べ床面積をもとに計算されます。税率は評価額の水準に応じて0.15%、0.3%、0.6%に分かれます。
このように、建物そのものの価値だけでなく、立地の価値も反映される点が特徴です。京都市中心部のように土地の価値が高いエリアでは、税負担が大きくなる可能性があります。
相続した実家にも関係する可能性
今回の「空き家税」への関心が高まっている理由のひとつが、相続した実家との関係です。
親が住んでいた家を相続したものの、自分は別の場所に住んでいて使っていない。売るにも貸すにも整理が進まず、そのまま放置している。こうしたケースは全国的に増えています。
京都市の制度では、非居住住宅の所有者が亡くなった場合や、居住者が亡くなって非居住住宅になった場合には、申告により一定期間、徴収猶予が認められる仕組みがあります。猶予期間中に住宅が活用された場合は、猶予された税額の支払いが免除されるとされています。
つまり、相続直後にすぐ税負担が発生するというより、一定の準備期間を設けつつ、最終的には売却、賃貸、居住、活用などの判断を促す制度設計になっています。
空き家問題は全国的な課題に
空き家税が注目される背景には、全国的な空き家問題があります。
人口減少や高齢化、相続の増加により、使われない住宅は各地で増えています。空き家が適切に管理されないまま放置されると、老朽化による倒壊、火災、防犯上の不安、景観悪化、近隣トラブルなどにつながる可能性があります。
特に都市部では、住みたい人がいる一方で、使われていない住宅が市場に出てこないという問題もあります。京都市の場合、観光地としての人気や歴史的な街並み、住宅需要の高さがある一方で、空き家やセカンドハウスが地域の住宅供給を妨げているとの問題意識があります。
今回の制度は、こうした空き家を「持っているだけ」の状態から、売る、貸す、住む、活用する方向へ動かすための政策といえます。
所有者には早めの確認が必要
京都市内に空き家や別荘、使っていない住宅を持っている人は、制度開始前から早めに状況を確認しておく必要があります。
まず確認したいのは、その住宅が市街化区域内にあるかどうかです。京都市の制度では、市街化区域内の非居住住宅が対象とされています。
次に、実際に生活の本拠として使っている人がいるかどうかです。住民票があるかどうかだけでなく、生活実態によって判断される点にも注意が必要です。
さらに、売却や賃貸、事業利用の予定がある場合は、どのように申告するのか、どの時点までに手続きをする必要があるのかも確認しておくべきです。
今後の注目点
今後注目されるのは、京都市の制度が他の自治体にも広がるかどうかです。
京都市は全国初の空き家税として注目されています。制度が実際に始まり、空き家の流通や活用に効果が出れば、他の自治体でも同様の税制や空き家対策が検討される可能性があります。
一方で、課税対象の判定、所有者への通知、申告手続き、免除や減免の運用など、制度を実務として動かすには多くの課題もあります。
特に相続、共有名義、遠方所有者、老朽化住宅などは判断が複雑になりやすく、制度開始までにどれだけ分かりやすい案内が行われるかが重要です。
まとめ
「空き家税」がトレンド入りした背景には、京都市が導入予定の「非居住住宅利活用促進税」への関心があります。
この制度は、空き家や別荘、セカンドハウスなど居住者のいない住宅に課税し、有効活用を促すことを目的としたものです。課税開始は現在、2030年度からの予定とされています。
すべての空き家に一律で課税されるわけではなく、免税点や課税免除、減免、徴収猶予などの仕組みも設けられています。一方で、京都市内に使っていない住宅を所有している人にとっては、今後の管理・売却・賃貸・活用を考えるきっかけになります。
空き家問題は京都市だけでなく全国的な課題です。今回の制度がどのように運用され、他の自治体に広がるのか、今後も注目が集まりそうです。
